ディベートを教えるということ

つい先日マイミクのDerry君の日記に興味深い話題が挙っていたので、自分なりにディベートを教える上で考えていることをまとめてみる。

自分がいつでも心掛けてきたのは下記の3点。
1. ディベートという枠組みに捕われないスピーチスタイルを育てる
2. 個人の特性を活かしてあげるコメントをする
3. で、アドバイスはするも、最後は自分で考えさせる


まず、1から。
ディベートの、特にパーラの本質は、大衆性と即興性にあると思っていて、
その大衆性の一つは、『わかりやすさ』と『インパクト』だと勝手に思っています。
論理的に、順序だって話すのもわかりやすさの一つだし、
感情的に、豊かなイラストレーションで、相手の心を揺さぶるのはインパクトの一つ。
で、そうした『わかりやすい』スピーチの本質は、
いかに、『自分の伝えようと思っていること』が、『どれだけきちんと相手に伝えれるか』だと思うのです。
だから、リフレク時には「あなたのこのラウンドで伝えたいことは何?」と聞くようにしています。
それを聞いて「私はこう感じた。あなたの思うように伝えるには、こうした順番で話した方が良くない?」みたいなリフレクをすることが多いです。
結局、『自分の伝えようと思っていること』が、『どれだけきちんと相手に伝えれるか』って能力は社会人になってからも大事だし、
そうした能力を育むのにすごくパーラはいいんじゃないかなぁ、と考えていることを話しながら、
『だから、パーラすると、そうした能力が磨かれるんだよ!』と締めます。
「所詮、一サークル活動」って思ってしまうと、力も入らないし、
実生活に役立つのが目に見える→やる気だしてくれないかなぁ、と思ってのコメントです。
自分も会社でまだまだだけど、それでもそうしたトレーニングを積んでることはいい経験だと思うのだけど、どうでしょうか?


次に2。
これは、数多くのディベーターを見てきた視点から、
何ラウンドか見れば、そのディベーターの癖や特徴が見えてきますが、
そのディベーターの特徴・個性を最大限に活かせるようなコメントを考えています。
やっぱり、自分の馴染んでるスタイルが本人にとってもっともやりやすいだろうし、
スピーチしてて気持ちよく感じてくれんじゃないかなぁ、という考えからです。
特に、「このディベーターのスタイルは○○先輩に似てるな」と感じると、
その人のビデオを見ることを薦めたりします。
ここは色々なディベーターを見てきた自分のキャリアのなせる所かな。
個人的には、それはそれでその人の幅を狭めているんじゃないか、と思うのがジレンマだけど。


最後に3。
色々コメントするけど、必ず最後に
『僕の言ったことを丸呑みしちゃいかん!』と釘を刺します。
リフレクでコメントされて、全部正しいと思うと、自分で考える余地がない。
それじゃあ、結局成長できないと思うのです。
コメントの一つ一つを噛み締めて、納得いくまで考えて、
それを次のラウンド、また次のラウンドと繰り返すことでしか、
なかなかコメントされた内容も身に付かないと思うので。
更に加えるならば、言われたことだけやっていては、その人を超えることは難しい。
同じ考え、同じやり方でやっていれば、相手の方が長けているのは言わずもがな。
その人の考えを一歩進めることで、新たな成長を促し、
ひいては国際舞台での日本人チームの活躍に繋がると思っているのだけど、どうでしょうか?


まとめると、
1, 「ディベートは社会に出てからも役立つよ」的コメントでやる気を出させ、
2. 「気持ちよくスピーチさせる」ために、個性をうまく活かさせて、
3. 「自分で考えさせる習慣を見つけさせる」ために、きっかけを与える
ってとこです。

こうした考え方をするようになった背景とか色々あるけど、それはまた次回以降で(続くのか?)