『おもてなしの経営学」(中嶋聡:著)を読む最中に考えたこと

ueda512008-04-13


著者の中嶋聡さんは、早稲田大学院を卒業後、NTTに入り、
その後アスキーMicrosoft→起業(U.I.Evolution)したエンジニアであり、経営者。
Windows 95Internet Explorerアーキテクチャーであり、
NTTの先輩にもあたる。
中島さんのブログ、Life is Beautifulから影響を受けて、
転職を踏み切った経緯もある。

その中島さんが先日、本を出されたので、購入し、今読んでいます。
読破はまだしていないですが、いくつか残しておきたい部分があったので、エントリー。

第2章のITビジネス蘊蓄で印象に残ったのは下記の部分。

米国のマイクロソフト社で働くようになって最も強く感じたのは、日本にごく少数しかいない「ビジネスのことがわかる技術者」「ITのことがわかる経営者」がたくさんいることだ。「アップル社と戦うためにはこんな商品戦略が必要」とビジネス戦略の話をしていた連中が、次の日には「次世代OSのアーキテクチャはこうあるべき」と、思いっきり技術的に突っ込んだ話をしているのだ。

「誰もが大学に行こうと思えば行ける時代」になった日本とは違い、進学率があまり高くない米国における大学生のエリート意識はものすごく高い。彼らは大学を「自分のキャリアのために必要なスキルと資格、コネを取得するところ」と、はっきり意識しているのである。「就職率が高そうだから」などという曖昧な理由で専門分野(メジャー)を選ぶ日本の学生と異なり、自分はどんなキャリアを持ちたいか/どこで勝負をしたいかをしっかりと考えたうえで、人生設計の一部として専門分野を選ぶのだ。

いかんせん、アメリカ人の大学生の知り合いは少ないので、
実情は知っている人から教えてほしいくらい(cTakさんとか)ですが、
そこまでエリート意識は高くにないにしろ、彼らの大学に通う目的は、
日本の大学生よりはっきりしていそうな気はします。
日本の大学生が入学の段階で、はっきりし過ぎていないのかもしれないですね。

かくいう僕もICU入学時は、「哲学をしたい」と思って入学したのに、
「経済学おもしろっ」「経済やるなら数学だよな」「やっぱ、情報だ」ときて、
2年秋にようやく「計量的な面と、心情的な面が絡まっていて、かつ現実論で面白い」
と感じた経営学専攻に決まった訳ですが。

「コネ」と聞くと、日本ではいい印象は持たれませんが、
あまりそういった印象がないアメリカでこそ、コネを求める学生がいて、
そうした人間関係を重視することもあるってことを押さえているといいかもしれないですね。
外資系でも上司のホームパーティーに招かれることが、
もっとも信頼関係がある状態と、考えられていることもあるようなので。

「僕はエンジニアだからマーケティングはわからない」「私は商学部卒だからITのことはエンジニアに任せる」などと甘いことを言っていては、「技術とビジネスの両刀使い」がたくさんいる米国の企業と同じ土俵で戦うことはできない。そんな今だからこそ、日本の技術者たちはビジネスのことを意識して勉強しなければならないし、ビジネス側の人たちは現在、ITの世界で何が起こっているのかをきちんと把握している必要がある。終身雇用制が崩れようとしている今、自分の知識労働者としての価値を高くするための努力をする責任は、会社にではなく自分自身にあるのだから。

と、この段落でしめています。
この部分に関しては同意できるし、だからこそ僕はNTTを退職し、今の職場にいる理由かなと。
たしかにNTTの企画業務で、マーケティングについてもっと勉強し、
会社からMBAを取得して、といった未来もあったかもしれない。
近くに、すごいマーケティングに優れている部長もいらっしゃったし。
でもそうした中、マーケティングスペシャリストになることも悪くはないと思ってけれど、
僕はマーケティングもテクノロジーもどちらもわかるスペシャリストになりたかったし、
そうした人材がきっと何年後かに重宝されると予想して、転職、そして今の職場を選んだ。

4月になって新社会人になった人も、内定が出て一息している人も、
まだ就職活動中の人も、転職活動を考えている人も、今の環境に満足している人も、
一度きちんと自分の労働者としての価値を考えてみると良いかもしれないなぁと思いました。

そうそう、本文中にいきなりICU(国際基督教大学)が出てきて、「あわわ」したので、そこも引用。
p83に

日本の理系大学が本当に世界で通用するエンジニアを育てたいなら、「大学1、2年で集中的に英会話を勉強させ、3、4年は海外の大学や起業から引き抜いた外人講師に英語で授業をさせる」ぐらいのことをする必要がある。マイクロソフトに本法人の元社長を務めた成毛眞氏が当時、「ICU(国際基督教大学)の卒業生は誰でも大歓迎」とべた褒めしたのは、日本の大学には珍しいICUの英語教育を評価してのことだ。

らしいですよ。
あくまで、当時の話だそうですが。